正面玄関にあるスイセンの花が咲き始め,春の訪れを感じる今日,1・2年修了式が行われました。1年2年それぞれの代表の生徒が校長先生より修了証を手渡されました。
校長先生のお話(式辞)では,先日突然東北関東地方を襲った大地震により尊い命を失う悲しい出来事となりましたが,改めて感じる日本人のよさについてお話がありました。
校長先生の式辞については,以下の「式辞はこちら」からご覧いただけます。
1・2年修了式、校長式辞より(一部紹介)
1年生176名,2年生202名の代表生徒に修了証を渡しました。1年間しっかり勉強して,それぞれの課程を修了したことを証明するものです。1年間を振り返ると反省することもいろいろあるでしょうし,逆に努力したこともあるでしょう。これらは,通知表にもあらわれていることでしょう。これを機に,新たな目標を立ててもらいたいと思います。
ところで,約2週間前におきました東北関東大震災は,大変な災害でした。連日のニュースを聞いていると,まだまだ被害が拡大するいっぽうでどれほどの被害になるか計り知れません。そんな中,地震に関する諸外国の報道を見ていると,日本のことを褒めるニュースがたくさんありましたので紹介します。
イギリスBBC放送局より『地球最悪の地震が,世界で一番準備され訓練された国を襲った。犠牲は出たが,他の国ではこんなに正しい行動はとれないだろう』
一番準備され訓練されたとは耐震基準が厳しいことや避難訓練がしっかりできていること,正しい行動とは日本人の規律正しい行動を表していると思います。
地震の当日は,東京でも震度5程度の揺れがあったそうです。交通機関が全面ストップしたので,そのために何時間も歩いて帰宅する人や家に帰ることができず駅などで一夜を明かした人もいたそうです。また,ディズニーランドでも帰ることができなくて一夜を過ごした人があると聞いています。
その日のブログやツイッターの中に,とても感動的な言葉がありましたので紹介します。
『ディズニーランドでは,ショップのお菓子なども配給された。女子高生が必要以上にたくさんもらっていくのでなんだと思ったけど,その子たちが避難所の子どもたちにお菓子を配っていたところを見て感動した。子どもづれで動けない状況だったから,本当にありがたい心配りだった』
『ホームで待ちくたびれていたら,ホームレスの人たちが寒いから持っていけとダンボールをくれた。いつも私たちは横目で流しているのに温かいです』
『(物が散乱しているスーパーにて)落ちているものを律儀にも拾い,そして列に並んでお金を払って買い物をする光景をみて,外国人は感動したようだ。』
『昨日の夜中,大学から徒歩で帰宅する道すがら,とっくに閉店したパン屋のおばちゃんが無料でパンを配給していた。こんな状況の中でも自分にできることを見つけて実践している人に感謝。心が温まった。』
『スーパーで無事買い物ができました。でも,お客さんのほとんどが他の人のことを考えて必要最低限しか買わない感じだったことに感動しました』
『昨日,停電で機能していない信号がある御殿場で,お互いにドライバー同士が譲りあっていたし,地元のおじいちゃんやおばあちゃんが手信号をやってくれたりしていた。混乱も無く本当に感動した。9時間運転していたけど,前の車をあおることもなく,みんな譲り合いの精神だった』
『昨日,歩いて帰ろうと決めて,甲州街道を西へ向かった。夜21時なのにビルの前で会社をトイレと休憩所として開放しているところがあった。社員さんが大声でそのことを歩く人に伝えていた。感動して泣きそうになった。』
『都営大江戸線では,非常に混雑していました。ホームにも改札の外にも電車を待つ溢れんばかりの人,でも,誰一人列を乱さず通路を開け,係員の誘導に従っている。ロープがあるわけでもないのに,通る人のための通路スペースがある不自然なほどの快適さに,ただただ感動するばかり』
正しい行動とは,日本人の冷静さや,規律を守る姿勢,他人を思いやる姿勢を表現しているのだと思います。
ロシアの新聞より『震災後もパニックを起さない日本人は,世界的に道徳的優位性を示した』
中国の新聞より『日本国民が混乱せず,整然と震災に対応していくことに感銘を受けました』
どんな状況になっても自分の事だけを考えずに,きちんときまりを守る,人のことを考えて行動することが日本人の美徳だと思います。大変な災害にあったことは残念なことではありますが,こうしたことで日本人のよさが再認識できたような気がします。これは,扶桑中学校の敬愛信も同じことだと思います。自分のことを大切にすることと同じように,人のことも大切にする。これは日本人が古くから持ちあわせている誇れるべきところではないでしょうか。
最後に,国連メッセージより『日本は今まで世界中に援助をしてきた援助大国だ。今回は,国連が全力で日本を援助する。』とあり,地震直後に50カ国以上が直ちに援助しますと支援の手を差し伸べていただきました。
これを見て,校長先生が思い浮かべた言葉が
「情けは人のためならず」
情けというのは,人に対する思いやりであったり,やさしさであったり,親切です。情けというのは,人のためを思ってするのですが,決して人のためだけではありません。それは,周りのことを思いやる人は,必ず周りの人が自分のことを思いやってくれるのです。情けをかけることは,自分のためでもあるのだという意味です。
明日から春休みです。春休み中に,敬愛信の誠心をさらに高めて,一まわり大きくなった君たちに出会うことを楽しみしています。